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のうめんのひみつ

能面の秘密

坂口 安吾

「小説新潮 第九巻第三号」1955(昭和30)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,440 字 · 35 页

青空文庫

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火事のあったのは乃田家の別館であった。山の手の水利の悪いところだし広い庭の中でホースがとどいて水がでるまでにもずいぶん手間どってしまった。それで別館一棟だけがキレイに焼け落ちてしまったが、焼けた中に一人の男の死体が発見された。二部屋にフトンがしかれていて死体の方は一ツである。死体の部屋が火元らしく、この部屋の二ツのドアには鍵がかかっていたことが焼跡の調査の結果確定した。廊下に面したドアには内側から、隣りの部屋に通じるドアには外側から。そしてその隣室にもフトンがしかれていたのである。死体は大川であった。密室の死体であるから煙草の火の不始末か自殺かと一応結論がでかかっていたのであったが、たまたまオツネのアンマ宿の向いに新聞記者が住まっていた。そしてこの記者が現場の取材から戻ったとたんに女のアンマと近所の人の立話をきいてしまったのである。

「あのウチにはオツネサンがゆうべもみに行ったんですよ。その人が妙な人でね、オツネサンのような年増の不美人でも酔っぱらってアンマをとると乙な気持になって困ることもあるからと顔に鬼女の面をつけさせてアンマをとる例なんですッてね。