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おきつやごえもんのいしょ(しょこう)
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
「中央公論」1912(大正元)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,491 字 · 9 页
しかるに興津は香木を隈本へ持って帰ったと云ってある。細川忠利が隈本城主になったのは寛永九年だから、これも年代が相違している。そこで丁度二条行幸の前寛永元年五月安南国から香木が渡った事があるので、それを使って、隈本を杵築に改めた。最後に興律は死んだ時何歳であったか分からない。しかし万治から溯ると、二条行幸までに三十年余立っている。行幸前に役人になって長崎へ往った興津であるから、その長崎行が二十代の事だとしても死ぬる時は六十歳位にはなっている筈である。こんな作に考証も事々しいが、他日の遺忘のためにただこれだけの事を書き留めておく。
大正元年九月十八日