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ほどう
舗道
宮本 百合子
「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页
ミサ子は、
「……布団がないんだけれど」
と困惑そうな顔をした。
「いいのよ、窮屈でもおもやいにして泊めて貰えたらたすかるわ。十八ばかりの娘さんですよ……今度だけどうにかなればいいんだから……」
柳は何か頻りに考えていたが、
「その娘さん沢田って云って来る筈だから、どうぞよろしく」
半ばふざけてのように軽くお辞儀をした。
「多分九時頃来ますからね、心配はいらないの、寝させてさえやればいいんだから――」
ミサ子にはその娘がどんな仕事をしている人か略見当がつくように思われた。
「私の友達ということでいいんでしょう?」
「結構だわ、じゃどうぞ」
どこか落つかない気持で待っていると、約束の時間より早めに、銘仙ずくめのおとなしい装の若い女がミサ子を訪ねてやって来た。
電燈の下で向いあったが、ミサ子にもその女にも、別に話すことがない。顔を見合わせ、何ということなく微笑みあった。沢田というその女は、やがて淡白な口調で、
「あしたあなたお早いんですか」と訊いた。
「私、勤めているんです。七時に起きりゃいいんだけれど、あなたは?」
「六時前に出かけたいから……そろそろやすみましょうか」