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ほどう
舗道
宮本 百合子
「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页
「布団がなくてわるいわね」
「私こそ、いきなり御厄介になってすみません」
沢田はミサ子を手伝って布団をしくと、行儀よく、だがちっとも遠慮せず帯をといて寝仕度をした。
ミサ子の仕度を待って、
「あなた、どっち側がいいでしょう」ときいた。
「どっちだって同じですわ」
「――でも、ふだんの癖がおありでしょう! 私はほんとに同じことだから……」
そういう心遣いは、ミサ子に飾りない親しさを深く感じさせた。数分前は見も知らなかった女と寝るような気がせず、ミサ子は快活に、
「じゃ私右側にやらせてもらうわ」
と云って、自分から先に布団に入った。
電燈を消すと間もなく、沢田は眠ったらしく、速いかるい寝息をたてはじめた。しんが疲れていると見え時々ぴくり、ぴくりと細そりした体がつれるのが感じられる。ミサ子は相手の眠りを妨げまいと凝っと横をむき、暗闇の中で目をあきながら、自分のとなりで若い体が疲れで痙攣するのを全身で感じていた。