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ほどう
舗道
宮本 百合子
「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页
「先月家賃のとれたのはたった一軒よ。お話にも何にもなりゃしない!」
ミサ子は長火鉢の灰をかきながら、姉夫婦の生活に同情と歯痒さとを感じた。結婚当時は、僅かながら不動産もあるし、勤め先もいいしと楽観していたのだろう。けれど、世の中は決して一つところに止ってはいないのだ。
「こないだちょっとわけがあって価格評価をして貰って、私、全く先々どうなるんだろうと思ったわ。地面や家作なんてもう何の頼りにもなりゃしない。価じゃないのね」
姉の相談は、ミサ子に同居してくれないかと云うのだった。
「恥かしいこったけれど、全く法がえしがつかないの。だからミサちゃんの都合さえよかったら、よそを肥やすより、うちをすけて貰えまいかしらと思って――」
ミサ子が急場の返事に困って黙っていると、
「図々しすぎる?」
文子は微に顔を赧らめながら極りわるそうに笑った。
「そんなこと決してないわよ。……でも義兄さん承知なの?」
「承知するもしないもないじゃありませんか――。ミサちゃんだって楽じゃないでしょう? 自炊なんて簡単なようで面倒くさいもの……家にいりゃ台所へ立たせるようなことはしなくてよ」