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ほどう
舗道
宮本 百合子
「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页
「さあ、どうぞ」
文子が長火鉢の前へ坐ると、九つに五つに三つという子供たちがぞろりと母親にたかって、凝っとミサ子の方を眺めた。
「どうしたの、順三、小母さんに今日はしたの?」
順三は、体をくんねり母親にもたらして笑ってばかりいる。
「義兄さんは?」ミサ子が訊いた。
「お風呂から床屋へまわってる筈よ……直き帰るわ」
「お変りなし?」
「相変らず――お友達やなんかにも頼んであるらしいんだけれど、義兄さんのようなのは却って駄目ね。ズブの学校出ならこれでまた、就職口があるらしいんだけれど……」
太田は高商出で、十年余××物産に勤めていた。始めは池内成三という××の大番頭のひきで将来見込みのありそうな鉱山部詰めだった。それがだんだん中軸から遠いところへと勤務を移され、昨年の秋不況と一緒にとうとうくびになった。
太田の亡父が知事で、二三軒の小さい貸家と今住んでいる地所家屋をのこして行った。それで、どうやらやっている訳だ。
文子は、
「私この頃つくづくミサちゃんが羨しいわ」
と、しんかららしく云った。
「せめてお小遣いでも自分の力でとれたらどんなにいいでしょうね」
わきに遊んでる子供たちに聞えないようにしながら文子は小声で、