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はなふぶき
花ふぶき
豊島 与志雄
「風雪」1948(昭和23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,409 字 · 20 页
そして千代はいろいろな意味で、醜悪の一つの代表なのだ。
そういうわけで、おれは千代の病院入りに賛成した。
そのことを、赤木がひそかにおれに相談したのだ。――二階の室を使う特別客の仲間の一人に、古賀さんという中年の男がいて、その知人に脳病院の医者がある。千代の様子を話してみたところが、その軽度のものなら、全快はしないまでも、いくらかよくなるかも知れないから、二三ヶ月預ってみてもよいとのこと。
「どうだろう。」と赤木は探るようにおれの顔を見た。
どの点から考えても、おれは賛成だ。
ところが、赤木は、おれと二人きりなのに声をひそめた。
「問題は嘉代だよ。あれは、千代を自分の娘のように可愛がっておる。なかなか手離したがるまい。それに入院費のこともぐずぐず言うだろう。然しだね、ただ可愛いいとか、入院費とかのために、なおる病気もなおさないのは、大きい目で見て、ふびんなことじゃないか。ただちょっと、おれからは話しにくい。逐っ払いでもするように、気を廻れちゃ困る。君から、当らず障らず、説き伏せてはくれまいかね。」
そうなると、おれには重荷だ。古賀さんの話にしても、おれが直接聞いたわけではない。