轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなふぶき
花ふぶき
豊島 与志雄
「風雪」1948(昭和23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,409 字 · 20 页
おれだったら、千代を見れば、もう二度とは来ないだろう。
もっとも、ここの料理は、素人風だが場所柄としてはわりに品質がよい。客の多くは食いに来るよりは寧ろ飲みに来るのだが、その酒が、日本酒にしても、日本物だがウイスキーにしても、銀座裏などに比べても遜色はない。この点に赤木は頗る努力しているのだ。それから実は、千代はあまり客の前に出ないようになっている。奥の室で、お燗番をしたり、野菜をえり分けたり、下駄の鼻緒を拵えたり、ほどき物をしたりする。そんな仕事を、畑の草取りと同様に、彼女はよくやってのける。用がないと、居眠りをしていて、最後の後片付けに呼び起される。それでも、やはり客の前に顔を出すこともあるが、少しぐずついていると、嘉代さんが奥へ追いやる。嘉代さんがうっかりしている場合には、赤木が嘉代さんに注意することもある。赤木は殆んど千代にじかに言葉をかけない。ただ睥みつけるだけだ。
近所の下品な酔客が、時とすると、千代をからかう。
「千代ちゃん、いつ結婚するんだい。」
「知りません。」と千代は答える。
「いい旦那さんがすぐそばにいるじゃないか。」
「知りません。