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はなをうめる
花をうめる
「哈爾賓日日新聞」1939(昭和14)年10月15日~10月31日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,555 字 · 7 页
だが、林太郎は私の心の底までつまり私がツルをすいているということまでみとおしたようににやにやと笑って「まださがいとるのけ、ばかだな」といった。「あれ嘘だっただよ、ツルあ何も埋けやせんだっただ」
私は、ああそうだったのかと思った。心についていたものがのぞかれたように感じて、ほっとした。
それからのち、常夜燈の下は私にはなんの魅力もないものになってしまった。ときどきそこで遊んでいて、ここには何もかくされてはないのだと思うとしらじらしい気持ちになり、美しい花がかくされているのだと思いこんでいた以前のことをなつかしく思うのであった。
林太郎が私に真実を語らなかったら、私にはいつまでも常夜燈の下のかくされた花の思いは楽しいものであったかどうか、それはわからない。
ツルとはその後、同じ村にいながら長いあいだ交渉をたっていたが、私が中学を出たときおりがあって手紙のやりとりをし、あいびきもした。しかし彼女はそれまで私が心の中で育てていたツルとはたいそうちがっていて、普通のおろかな虚栄心の強い女であることがわかり、ひどい幻滅を味わったのは、ツルがかくしたようにみせかけたあの花についての事情と何か似ていてあわれである。