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はなこ
花子
「三田文学」1910(明治43)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,950 字 · 11 页
それを見つける人の目次第で美しいところがあると信じているロダンは、この間から花子という日本の女が varit に出ているということを聞いて、それを連れて来て見せてくれるように、伝を求めて、花子を買って出している男に頼んでおいたのである。
今来たのはその興行師である。Imprsario である。
「こっちへ這入らせて下さい」とロダンはいった。椅子をも指さないのは、その暇がないからばかりではない。
「通訳をする人が一しょに来ていますが。」機嫌を伺うように云うのである。
「それは誰ですか。フランス人ですか。」
「いいえ。日本人です。L'Institut Pasteur で為事をしている学生ですが、先生の所へ呼ばれたということを花子に聞いて、望んで通訳をしに来たのです。」
「よろしい。一しょに這入らせて下さい。」
興行師は承知して出て行った。
直ぐに男女の日本人が這入って来た。二人とも際立って小さく見える。跡について這入って戸を締める興行師も、大きい男ではないのに、二人の日本人はその男の耳までしかないのである。
ロダンの目は注意して物を視るとき、内眥に深く刻んだような皺が出来る。