轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなたばのむし
花束の虫
大阪 圭吉
「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,893 字 · 36 页
、そして又、人間の足首で言うと恰度蹠骨尖端の下部に当る処なんだが、あの少女の履くポックリの前底部を一寸思い出させる様なこの靴跡の前の部の局部的な強い窪み方――。等々の総合的な推理からして、僕はこの靴を、一種の木靴――あの真夏の海水浴場で、熱い砂の上を婦人達が履いて歩く可愛い海水靴であると推定したんだ。そして、少なくともその海水靴の側面は、美しい臙脂色に違いない――。何故って、ほら、これを御覧」
そう言って大月は、靴跡の土つかずの処から、その海水靴が心持強く土の中へ喰入った時に剥げ落ちたであろう極めて小さな臙脂色の漆の小片を拾い上げて、二人の眼の前へ差出した。そして、
「勿論、こんなにお誂え向きに漆が剥げ落ちて呉れる様では、その海水靴ももう相当に履き古されたものに違いないが、ここで僕は、去年の夏辺りどこかの海水浴場で、その海水靴と当然同時に同じ女に依って用いられたであろうビーチ・パンツとビーチ・コートを思い出すんだ。そして而もそれらの衣服の色彩は、派手な水色であった、とね。だが茲で、或は君は、若しも男が、犯人は女であると見せかける為に、そんな婦人用の海水靴を履いたのだとしたならどうだ、と言う疑いを持つかも知れない。