轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなたばのむし
花束の虫
大阪 圭吉
「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,893 字 · 36 页
が、それにも不拘大月は、もう一度秋田を吃驚させる様な不審な態度に出た。全く、それは奇妙な事だった。
――銚子から帰って二時間もしない内に、新しい書類の整理をすっかり秋田に任せた大月は、築地の瑪瑙座の事務所を呼び出して、暫く受話器を握っていたが、軈て通話が終ると、何思ったのかついぞ着た事もないタキシードなどを着込んで、胸のポケットへ純白なハンカチを一寸折り込むと、オツにすましてその儘夕方の街へ飛び出して了ったのだ。
歳柄もなく口笛などを吹きながらさっさとアスファルトの上を歩き続けて行った大月は、銀座裏のレストランでウイスキーを一杯ひっかけると、それからタクシーを拾ってユニオン・ダンス・ホールへやって来た。そして其処で、昔習い覚えた危い足取で古臭いワルツを踊り始めた。――が、それも二十分としない内に其処を飛び出すと、再びタクシーに乗り込んで、意勢よくこう命じた。
「日米・ホールへ!」
それから、次に、
「国華・ホール!」
――そんな風にして、ざっと数え上げると、ユニオン、日米、国華、銀座、フロリダと、都合五つの舞踏場を踊り回った大月は、最後のフロリダで若い美しい一人のダンサーを連れ出すと、その儘自動車を飛ばして丸の内の事務所へ帰って来た。