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くのうのねんかん

苦悩の年鑑

太宰 治

「新文芸」1946(昭和21)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,798 字 · 16 页

青空文庫

可笑しくもなかった。私はとうとう、レヴュウというものを理解できずに終った。モダン精神が、わからなかったのである。してみると、当時の日本の風潮は、アメリカ風とソヴィエト風との交錯であった。大正末期から昭和初年にかけての頃である。いまから二十年前である。ダンスホールとストライキ。煙突男などという派手な事件もあった。)

結局私は、生家をあざむき、つまり「戦略」を用いて、お金やら着物やらいろいろのものを送らせて、之を同志とわけ合うだけの能しか無い男であった。

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満洲事変が起った。爆弾三勇士。私はその美談に少しも感心しなかった。

私はたびたび留置場にいれられ、取調べの刑事が、私のおとなしすぎる態度に呆れて、「おめえみたいなブルジョアの坊ちゃんに革命なんて出来るものか。本当の革命は、おれたちがやるんだ。」と言った。

その言葉には妙な現実感があった。

のちに到り、所謂青年将校と組んで、イヤな、無教養の、不吉な、変態革命を兇暴に遂行した人の中に、あのひとも混っていたような気がしてならぬ。

同志たちは次々と投獄せられた。ほとんど全部、投獄せられた。