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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
「新青年」1941(昭和16)年 2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,727 字 · 72 页
という記事もあって、いよいよ近く英独は、ドーヴァ海峡を距てて対戦するであろうことを示唆しているものもあった。
「そうすると、中国は、この欧州の戦局に対して、どういう役割をしているのかな」
仏天青は、そういう疑問にぶつかった。
そこで彼は、新聞紙をいくたびか畳かえして、そういう記事のある欄を探した。
“東洋”という欄が、ようやくにして、見つかった。わが中国は、安心なことに、まず、イギリス側に立っているようであった。イギリスからは、また新借款を許したそうであり、兵器弾薬は、更に活発に、中国へ向けて積み出されていることが分った。
「このようなイギリス側の援助をうけて、わが中国は、東洋で、ドイツ軍を迎えるのであろうか」
彼は、また奇妙な疑問にぶつかった。
だがむさぼるように、その先の記事を拾っていくと、終りの方に、彼を愕かせるに足る記事があった。
“首都重慶は、昨夜、また日本空軍のため、猛爆をうけた。損害は重大である。火災は、まだ已まない。これまでの日本空軍の爆撃により市街の三分の二は壊滅し、完全なる焦土と化した。しかも、蒋委員長は、あくまで重慶に踏み留まって抗戦する決意を披瀝した”