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そうもくとう
草木塔
種田 山頭火
「三八九 第五集」1933(昭和8)年1月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,123 字 · 3 页
柿
楢の葉
柿
前も柿、後も柿、右も柿、左も柿である。柿の季節に於て、其中庵風景はその豪華版を展開する。
今までの私は眼で柿を鑑賞していた。庵主となって初めて舌で柿を味わった。そしてそのうまさに驚かされた。何という甘さ、自然そのものの、そのままの甘さ、柿が木の実の甘さを私に教えてくれた。ありがたい。
柿の若葉はうつくしい。青葉もうつくしい。秋ふこうなって、色づいて、そしてひらりひらりと落ちる葉もまたうつくしい。すべての葉をおとしつくして、冬空たかく立っている梢には、なすべきことをなしおえたおちつきがあるではないか。
柿の実については、日本人が日本人に説くがものはない。るいるいとして枝にある柿、ゆたかに盛られた盆の柿、それはそれだけで芸術品である。
そしてまた、彼女が剥いでくれる柿の味は彼氏にまかせておくがよい。
柿は日本固有の、日本独特のものと聞いた。柿に日本の味があるのはあたりまえすぎるあたりまえであろう。
みんないつしよに柿をもぎつつ柿をたべつつ
楢の葉
楢の葉はおどろきやすい。すこしの風にも音を立てる。枯れても、おおかたは梢からはなれない。その葉と葉とが昼も夜もささやいている。