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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

しまいまで読んだっていいじゃありませんか」

「無論わるくは、ありませんよ。筋を読む気なら、わたしだって、そうします」

「筋を読まなけりゃ何を読むんです。筋のほかに何か読むものがありますか」

余は、やはり女だなと思った。多少試験してやる気になる。

「あなたは小説が好きですか」

「私が?」と句を切った女は、あとから「そうですねえ」と判然しない返事をした。あまり好きでもなさそうだ。

「好きだか、嫌だか自分にも解らないんじゃないですか」

「小説なんか読んだって、読まなくったって……」

と眼中にはまるで小説の存在を認めていない。

「それじゃ、初から読んだって、しまいから読んだって、いい加減な所をいい加減に読んだって、いい訳じゃありませんか。あなたのようにそう不思議がらないでもいいでしょう」

「だって、あなたと私とは違いますもの」

「どこが?」と余は女の眼の中を見詰めた。試験をするのはここだと思ったが、女の眸は少しも動かない。

「ホホホホ解りませんか」

「しかし若いうちは随分御読みなすったろう」余は一本道で押し合うのをやめにして、ちょっと裏へ廻った。

「今でも若いつもりですよ。可哀想に」