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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

木瓜の中から出ていらっしゃい」

余は唯々として木瓜の中から出て行く。

「まだ木瓜の中に御用があるんですか」

「もう無いんです。帰ろうかとも思うんです」

「それじゃごいっしょに参りましょうか」

「ええ」

余は再び唯々として、木瓜の中に退いて、帽子を被り、絵の道具を纏めて、那美さんといっしょにあるき出す。

「画を御描きになったの」

「やめました」

「ここへいらしって、まだ一枚も御描きなさらないじゃありませんか」

「ええ」

「でもせっかく画をかきにいらしって、ちっとも御かきなさらなくっちゃ、つまりませんわね」

「なにつまってるんです」

「おやそう。なぜ?」

「なぜでも、ちゃんとつまるんです。画なんぞ描いたって、描かなくったって、つまるところは同じ事でさあ」

「そりゃ洒落なの、ホホホホ随分呑気ですねえ」

「こんな所へくるからには、呑気にでもしなくっちゃ、来た甲斐がないじゃありませんか」

「なあにどこにいても、呑気にしなくっちゃ、生きている甲斐はありませんよ。私なんぞは、今のようなところを人に見られても恥かしくも何とも思いません」

「思わんでもいいでしょう」

「そうですかね。あなたは今の男をいったい何だと御思いです」