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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

おおおおだいぶお濡れなさった。今火を焚いて乾かして上げましょ」

「そこをもう少し燃しつけてくれれば、あたりながら乾かすよ。どうも少し休んだら寒くなった」

「へえ、ただいま焚いて上げます。まあ御茶を一つ」

と立ち上がりながら、しっしっと二声で鶏を追い下げる。ここここと馳け出した夫婦は、焦茶色の畳から、駄菓子箱の中を踏みつけて、往来へ飛び出す。雄の方が逃げるとき駄菓子の上へ糞を垂れた。

「まあ一つ」と婆さんはいつの間にか刳り抜き盆の上に茶碗をのせて出す。茶の色の黒く焦げている底に、一筆がきの梅の花が三輪無雑作に焼き付けられている。

「御菓子を」と今度は鶏の踏みつけた胡麻ねじと微塵棒を持ってくる。糞はどこぞに着いておらぬかと眺めて見たが、それは箱のなかに取り残されていた。

婆さんは袖無しの上から、襷をかけて、竈の前へうずくまる。余は懐から写生帖を取り出して、婆さんの横顔を写しながら、話しをしかける。

「閑静でいいね」

「へえ、御覧の通りの山里で」

「鶯は鳴くかね」

「ええ毎日のように鳴きます。此辺は夏も鳴きます」

「聞きたいな。ちっとも聞えないとなお聞きたい」

「あいにく今日は――先刻の雨でどこぞへ逃げました」