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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

会席膳を前へ置いて、一箸も着けずに、眺めたまま帰っても、目の保養から云えば、御茶屋へ上がった甲斐は充分ある。

「うちに若い女の人がいるだろう」と椀を置きながら、質問をかけた。

「へえ」

「ありゃ何だい」

「若い奥様でござんす」

「あのほかにまだ年寄の奥様がいるのかい」

「去年御亡くなりました」

「旦那さんは」

「おります。旦那さんの娘さんでござんす」

「あの若い人がかい」

「へえ」

「御客はいるかい」

「おりません」

「わたし一人かい」

「へえ」

「若い奥さんは毎日何をしているかい」

「針仕事を……」

「それから」

「三味を弾きます」

これは意外であった。面白いからまた

「それから」と聞いて見た。

「御寺へ行きます」と小女郎が云う。

これはまた意外である。御寺と三味線は妙だ。

「御寺詣りをするのかい」

「いいえ、和尚様の所へ行きます」

「和尚さんが三味線でも習うのかい」

「いいえ」

「じゃ何をしに行くのだい」

「大徹様の所へ行きます」

なあるほど、大徹と云うのはこの額を書いた男に相違ない。この句から察すると何でも禅坊主らしい。戸棚に遠良天釜があったのは、全くあの女の所持品だろう。

「この部屋は普段誰か這入っている所かね」