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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

余は別段の返事もせず羊羹を見ていた。どこで誰れが買って来ても構う事はない。ただ美くしければ、美くしいと思うだけで充分満足である。

「この青磁の形は大変いい。色も美事だ。ほとんど羊羹に対して遜色がない」

女はふふんと笑った。口元に侮どりの波が微かに揺れた。余の言葉を洒落と解したのだろう。なるほど洒落とすれば、軽蔑される価はたしかにある。智慧の足りない男が無理に洒落れた時には、よくこんな事を云うものだ。

「これは支那ですか」

「何ですか」と相手はまるで青磁を眼中に置いていない。

「どうも支那らしい」と皿を上げて底を眺めて見た。

「そんなものが、御好きなら、見せましょうか」

「ええ、見せて下さい」

「父が骨董が大好きですから、だいぶいろいろなものがあります。父にそう云って、いつか御茶でも上げましょう」

茶と聞いて少し辟易した。世間に茶人ほどもったいぶった風流人はない。広い詩界をわざとらしく窮屈に縄張りをして、極めて自尊的に、極めてことさらに、極めてせせこましく、必要もないのに鞠躬如として、あぶくを飲んで結構がるものはいわゆる茶人である。あんな煩瑣な規則のうちに雅味があるなら、麻布の聯隊のなかは雅味で鼻がつかえるだろう。