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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

隠居さんがああしているうちはいいが、もしもの事があった日にゃ、法返しがつかねえ訳になりまさあ」

「そうかな」

「当り前でさあ。本家の兄たあ、仲がわるしさ」

「本家があるのかい」

「本家は岡の上にありまさあ。遊びに行って御覧なさい。景色のいい所ですよ」

「おい、もう一遍石鹸をつけてくれないか。また痛くなって来た」

「よく痛くなる髭だね。髭が硬過ぎるからだ。旦那の髭じゃ、三日に一度は是非剃を当てなくっちゃ駄目ですぜ。わっしの剃で痛けりゃ、どこへ行ったって、我慢出来っこねえ」

「これから、そうしよう。何なら毎日来てもいい」

「そんなに長く逗留する気なんですか。あぶねえ。およしなせえ。益もねえ事った。碌でもねえものに引っかかって、どんな目に逢うか解りませんぜ」

「どうして」

「旦那あの娘は面はいいようだが、本当はき印しですぜ」

「なぜ」

「なぜって、旦那。村のものは、みんな気狂だって云ってるんでさあ」

「そりゃ何かの間違だろう」

「だって、現に証拠があるんだから、御よしなせえ。けんのんだ」

「おれは大丈夫だが、どんな証拠があるんだい」

「おかしな話しさね。まあゆっくり、煙草でも呑んで御出なせえ話すから。