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らくご・きょうそれつでん
落語・教祖列伝
04 飛燕流開祖
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,245 字 · 25 页
あの野郎、十手をあずかりながら、忍び道具をこしらえて泥棒をはたらいているんじゃないか、と疑る者もいるほどであった。
鼻介が何用でオトキの妾宅へ出入りしているかということが分ると、若者たちはオドロキを通りこして、居ても立ってもいられない恐怖にかられた。
彼は一日妾宅を訪れて、
「エエ、江戸名物、日本一の大探偵、鼻介でござい。聟殿の身許調査の御用はいかがで。迅速正確、親切丁寧、秘密厳守、料金低廉、あくまで良心的」
と売りこんだのである。実に彼こそは本朝興信所の元祖であった。若者の心胆が冷えきったまま温まらないのは当然というもの。
そこで十里四方の人間どもが一致団結して鼻介撃滅の壮挙にでたかというと、どこの国でも一番近いところに五列が忍んでいるから始末がわるい。どの村の娘もまるで相談したように鼻介に声援を送り、田吾作はオラとこへ七へん忍んできたれ、お寺のアネサのとこへも忍んで行ってけつかるがんだ、というようなことをスラスラと鼻介にうちあけてしまう。あっちのアンニャもこっちのオンチャも、独身の若者という若者がオ君の聟を狙って魂をぬきあげられているから、アネサどもは怒り心頭に発しているのである。