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らくご・きょうそれつでん

落語・教祖列伝

坂口 安吾

02 兆青流開祖

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,007 字 · 25 页

青空文庫

「それは困ったこんだ」

「さア、そこだ。奴めが自然村に居たたまらないような計略をめぐらさなくちゃアいけない。例年通り、お諏訪様の祭礼がちかづいたが、知っての通り、この祭礼に限って藪神の非人頭段九郎が境内を宰領することになっている。段九郎は配下の非人二十人と山犬十匹をつれて宵宮の前夜に山を降りてくるが、配下と山犬は河原へ小屋がけして祭礼のあいだ住んでいるが、村や祭礼へは遠慮して出てこない慣例になっている。段九郎だけが当日に限って紋服を許され、祭礼の世話人席に控えることになっている。オレが思うには、段九郎の手をかりて、ホラブンを退治してやろうと思うが、どうだえ」

「なるほど。雀とりの競争をやらせて、負けた方を、くらすける」

「ただくらすけるぐらいでは仕様がない。お前たちも知っての通り、段九郎の山犬は狼の一族だ。あの山犬の遠吠えをきくと、村や町の飼い犬は小屋へ隠れてふるえているということだ。今年は四年目の大祭であるし、何十年来の豊作だから、特にさし許す、と称して、段九郎の配下と山犬をお諏訪様の裏の藪へ小屋がけさせる」

「それは大ごとら。参詣人が山犬に食べられてしまうがね」