轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とうくろうのしま

藤九郎の島

久生 十蘭

「オール讀物」1952(昭和27)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,765 字 · 19 页

青空文庫

三

南の島には松の木はないはずだから、これは国の近くの浜から来たものだろうなどといい、かたみに松木の膚を撫でてなつかしみ、朝ごと入江に出て、国の木々の端くれを探しだすのをたのしみにするようになった。国の木は勿体なくて焚木にされず、乾しあげて数珠玉を彫ったり箸にしたりした。

三月、四月とすぎ、五月になると、思いがけない暑気に襲われた。もともと秋冬のない島だが、夏の季に入るなり、一帯の岩島が日輪に焙りつけられて火煙をあげるほどに熱し、岩層に手足をつけるとたちまち大火傷をする。逃げ場のない狭い島内のことで、みな死ぬ思いをしたが、なおそのうえ、藤九郎は夏の間はほかの島へ渡るのだとみえ、一羽残らず立って行ってしまい、焦熱地獄と餓鬼地獄の責苦をいちどに身に受けることになった。

翌年の二月に山焼けがあった。島が箕を振るように震動し、焼山から火を噴いて、三日の間、灰と岩石を降らした。みな東の入江に逃げ、三日三晩、首まで海に漬って熱気をふせいだ。この年の末、水夫の今助、小三郎、亀吉の三人が死んだ。

三

享保七年、三年目の冬のことであった。焚木とりに東の入江へ行くと、百石積みの船が一艘、浜に漂い着いていた。