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きょこうのはる

虚構の春

太宰 治

「文学界」1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,586 字 · 108 页

青空文庫

ぼくはセンチになると、水いらずで雑誌を作ることばかり考える。君はどんな風に考えるかしらんが、僕と君と二人だけでいる世界だけが一番美しいのではないだろうか。八、無理をしてはいかん。君は馬鹿なことを言った。君が先に出て先にくたばる術はない。僕たちを待たなくてはいかん。それまでは少くとも十年健康で待たなくてはいかん。根気が要る。僕は指にタコができた。九、これからは太宰治がじゃんじゃん僕なんかを宣伝する時になったようだ。僕なんか、ほくほく悦に入っている。『こんなのが仲間にいるとみんな得をするからな。』と今度ぼくは誰かに(最も不愉快な客が来たら)言ってやろうと、もくろんでいる。『虎の威を借る云々』とドバどもはいいふらすだろう。そしたら『あいつは虎でないとでもいうのか』と逆襲してやる。『そして僕が狐でないと誰が言いましたか。』十、君不看双眼色、不語似無愁――いい句だ。では元気で、僕のことを宣伝して呉れと筆をとること右の如し。林彪太郎。太宰治様机下。」

「メクラソウシニテヲアワセル。」(電報)

「めくら草紙を読みました。あの雑誌のうち、あの八頁だけを読みました。あなたは病気骨の髄を犯しても不倒である必要があります。