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しんきろう

蜃気楼

芥川 竜之介

秋日午后,我和朋友专程跑去看海市蜃楼,路上碰到个穿红衬衫的男人,聊起天来却有点莫名的压抑。那虚幻的景色到底看到了吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,624 字 · 10 页

青空文庫

「まだ僕は健全じゃないね。ああ云う車の痕を見てさえ、妙に参ってしまうんだから。」

O君は眉をひそめたまま、何とも僕の言葉に答えなかった。が、僕の心もちはO君にははっきり通じたらしかった。

そのうちに僕等は松の間を、――疎らに低い松の間を通り、引地川の岸を歩いて行った。海は広い砂浜の向うに深い藍色に晴れ渡っていた。が、絵の島は家々や樹木も何か憂鬱に曇っていた。

「新時代ですね?」

K君の言葉は唐突だった。のみならず微笑を含んでいた。新時代? ――しかも僕は咄嗟の間にK君の「新時代」を発見した。それは砂止めの笹垣を後ろに海を眺めている男女だった。尤も薄いインバネスに中折帽をかぶった男は新時代と呼ぶには当らなかった。しかし女の断髪は勿論、パラソルや踵の低い靴さえ確に新時代に出来上っていた。

「幸福らしいね。」

「君なんぞは羨しい仲間だろう。」

O君はK君をからかったりした。

蜃気楼の見える場所は彼等から一町ほど隔っていた。僕等はいずれも腹這いになり、陽炎の立った砂浜を川越しに透かして眺めたりした。砂浜の上には青いものが一すじ、リボンほどの幅にゆらめいていた。