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かにこうせん

蟹工船

小林 多喜二

「戦旗」1929(昭和4)年5月、6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,890 字 · 125 页

青空文庫

芝浦の漁夫が、

「馬鹿!」と、横から怒鳴りつけた。「殺されるッて分ったら? 馬鹿ア、何時だ、それア。――今、殺されているんでねえか。小刻みによ。彼奴等はな、上手なんだ。ピストルは今にもうつように、何時でも持っているが、なかなかそんなヘマはしないんだ。あれア「手」なんだ。――分るか。彼奴等は、俺達を殺せば、自分等の方で損するんだ。目的は――本当の目的は、俺達をウンと働かせて、締木にかけて、ギイギイ搾り上げて、しこたま儲けることなんだ。そいつを今俺達は毎日やられてるんだ。――どうだ、この滅茶苦茶は。まるで蚕に食われている桑の葉のように、俺達の身体が殺されているんだ」

「んだな!」

「んだな、も糞もあるもんか」厚い掌に、煙草の火を転がした。「ま、待ってくれ、今に、畜生!」

あまり南下して、身体の小さい女蟹ばかり多くなったので、場所を北の方へ移動することになった。それで皆は残業をさせられて、少し早目に(久し振りに!)仕事が終った。

皆が「糞壺」に降りて来た。

「元気ねえな」芝浦だった。

「こら、足ば見てけれや。ガク、ガクッて、段ば降りれなくなったで」

「気の毒だ。