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はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

「どう分ったんです?」

「天王寺の新世界のわきだす」

「え、新世界のそば?」

「はア、そや。天王寺公園南口の停留場の前に、一つ公衆電話がおまんね。その中に、蠅男が入りよったんや。あんさんの命令どおり、すぐ電話局へかけてみて、あんさんの話し相手が今どこから電話をかけているか調べてもろうてな、それから直ぐ署の方へ連絡しましたんや。蠅男が今これこれのところから電話を懸けているねン、はよ手配たのみまっせいうたら、署長さんが愕いてしもうて、へえ蠅男いう奴はやっぱり人間の声だして話しているかと問いかえしよるんや。――しかしすぐ手配するいうとりました」

帆村はうちうなずいて、主任に今しがた電話を通じて警官隊が現場に到着したらしい騒ぎを耳にしたことや、蠅男が女を連れていて、機関銃をもって抵抗し、そのうちにどこかに行ってしまったことを話した。大川主任は、なるほど、ほうほう、さよかいなを連発しながら、帆村の機智によるこの蠅男追跡談にいとも熱心に耳を傾けた。

丁度そのとき、部長の連れてきた一人の警官が、部屋に入ってきた。

「部長さん、あの娘がどうやら目が覚めたらしゅうおまっせ」