轻松读懂日语经典作品
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
それはそれでええとして、青年の方が令嬢を朝早く迎えに行ったいうんは?」
「それは、上原君の靴だけではなく、カオルさんの靴にも同等程度の泥がついていたからです。つまり二人は同じ程度の泥濘を歩いたことになります。それから燕号は、東京駅を午前九時に発車するのですから、朝早く迎えに行ったんでしょう」
「そうなりまっか。ちょっと腑に落ちまへんな。もし二人が駅で待合わしたんやってもよろしいやないか。そして、令嬢も上原も郊外に住んで居ったら、靴の泥も、同じように附着しよりますがな」
帆村は、ここだという風に大きく肯き、
「ところがですネ、もっと大事な観察があるのです。二人の靴についている泥が、どっちも同質なんです」
「同質の泥というと――貴下さんは、地質にも明るいのやな」
「ナニそれほどでもないが、二人の靴の泥を後でよく見てごらんなさい、どっちも泥が乾いているのに赤土らしくならないで、非常に青味がかっていましょう。染めたように真青です。だから、どっちも同質の土です。二人は同じ場所を歩いたと考えていいでしょう」
「へえーッ、さよか。そんなに青い泥がついとりましたか、気がつきまへなんだ。