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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

青木は涙をまぎらすような力のない笑い声をたてた。

青木は今度のことについて、事の起りはどうあろうとも、責任を感じていた。それは年齢を考えてみれば、当然のことだ。

一つにはヤケクソの気持があった。自分と長平との行きがかりから、こッちだって構うものかという気持がはたらいていたことは否めない。それをつとめて自制してきたことに多少の誇りはあるけれども、結局それがはたらいているのである。

長平がそこを怒っているだろうと青木は考えていたのである。そこを怒られるのは、つらくもあるし、いくらか気のはれることでもあった。そして、怒られることによって、心が洗われ、二人の魂がふれ合うこともできるような、ひそかな愛情を感じてもいたのだ。恩讐の彼方に、という甘い友情に飢えていたのである。

長年の仇敵がすべてを忘れて粗茶をくみ交し、四方山話にひたる。いかにも世捨人の慾のない交情を空想しているような甘さもあった。

すべての空想は当て外れだ。長平は内々怒っているかも知れないが、彼が怒られるだろうと思ったところは、問題にしていないのだ。それは淡々として心が枯れているから、というようなせいではないのだ。