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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

と、顔に一撃をくらッて、意識を失ってしまった。

気がついたとき、男の代りに、立っていたのはキッピイであった。

「血をふけよ。紙をまるめて、鼻につめこむんだよ。鼻血の始末もできないくせに、この土地で大きな口をきくんじゃないよ」

空地の隅の水道で、手と顔を洗わせた。

「利巧ぶるんじゃないよ。大バカでなきゃ、こんな目にあいやしないんだから」

廻り道して大通りの近くまで一しょにきて、キッピイはさッさと戻って行った。

五人目の人

一

放二は午ごろキッピイの自宅を訪ねた。これで四度目であった。キッピイはどこかへ泊りこんで、三日、家へ戻らなかったのである。

四度目に、キッピイはいた。

彼女は放二の根気にあきらめたようであった。

「あなた、何回でも、来るつもりなのね」

「ええ。お目にかかって、お話をうけたまわるまでは、何回でも」

キッピイは有り合せの下駄をつッかけると、放二をうながして、外へでた。人通りのすくない道へ歩きこんでから、

「あなたはどういう人なのよ。記代子さんの何よ。ハッキリ言って」

「同じ社の同じ部に机をならべている同僚です」

「それから?」