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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

「同じ仕事をしています」

「それから?」

「それだけです。そして、社長の命令で、記代子さんの行方を捜しているのです」

放二は思った。こういう女には、洗いざらい言ってしまう方がいいのだ、と。キッピイは何かを打ちあけてもいいらしい気持になっているようだ。彼が隠しだてをしなければ、たぶん、打ちあけてくれるだろう。キッピイの関心は、彼と記代子との恋愛関係にあるようであった。

「あなたは、記代子さんがニンシンしていらッしゃることを御存じでしょうね」

キッピイはうなずいた。

「記代子さんの恋人は、青木さんと仰有る年配の方です。ぼくとあの方とは、お友だち以外の関係はありません。ただ、ぼくが大庭長平先生の掛りですから、仕事の上で、特別密接な関係にあるというだけです」

「あなた方は、以前はフィアンセだったのでしょう」

キッピイの目は険しかった。嘘をとがめているのである。

「ちがいます。ぼくには、女の方を幸福にする資格がないのです」

放二は、ザックバランにうちあけた。

「ぼくは胸が悪いのです。元々悪かったのですが、この夏以来、特別にいけないのです。ぼくの予感が正しければ、記代子さんの行方を突きとめるまで倒れないのが精一ぱいです。