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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
地獄の門は、とッくに通りこしていたんだっけな。こんどくぐる門、どこの門」
ルミ子の目が光った。
七
「あんた、梶せつ子さんの旦那さんなの」
まずルミ子は問いただした。
男を送りだしたままのフトンが敷きっ放してある。青木は服のままその上へひッくりかえって、頭をかかえて、
「え? なに? 君、異様な質問を発したようだね。なんだって?」
「アンタノオクサン、カジ・セツコ!」
ルミ子は節をつけた。
「君よ知るや梶せつ子」
青木も唄の文句で起き上って、
「え? なぜ知ってるの。梶せつ子を」
「あんたの方が変だわね。梶せつ子にナイショ、ナイショって、なんのことなの。それがハッキリしなければ、この門は通行止め」
「ハッハ。はからざりけり。とんだシャレだったね。しかし、ぼくはシャレたわけじゃなかったのさ。ぼくのくぐったのは、地獄の門。こんどくぐる門、どこの門。地獄の次の門てのがあるのだろうかと悲しくって呟いたんだが、地獄の次の門てのは、ここのうちに在ったのかね」
「ここすぎて悲しみの門か」
「え? 君はダンテを読んだの」
「喫茶店の広告文さ。門という店のね」
「なるほど。