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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
すると記代子がさえぎって、
「でも私たちから、お願いしてみることはできてよ。お願いもしないうちから、そうときめてしまうのは、弱気すぎやしないこと。私、断然、お願いしてあげるわ」
「素敵だこと。放二さんには、あなたのような明朗なリーダアが必要なのね。さもないとハムレットになりかねないわ。記代子さんが現れて下さったから、大安心よ」
放二は深く澄んだ目で、せつ子を見つめていたが、
「ぼくたちには本当のことを教えて下さい。青木さんも金主の一人ではないのでしょうか。共同経営のようにうかがってましたが」
「ちがいます」
せつ子はきびしく否定して、
「あの方の話は止しましょう。私がまちがっていたのです。あの方の境遇に同情したことが。事業に同情は禁物なの。心を鬼にしなければいけないのね。忘れたいことを思いださせてはいけませんよ」
「そのために青木さんは自殺なさるかも知れません」
「事業に同情は禁物なのです」
せつ子の目に断乎たる命令の火焔がもえ狂った。放二はそれを正視して、素直にうなずいた。
七
せつ子はただちに反省した。放二に威圧を加える様を記代子に見せるのは得策ではない。