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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

素直に、そして、たぶんマジメに、彼は生きているだけだろう。

「君、地回りかい」

放二はクスリと笑っただけである。

「地回りに、なぐられないかい」

「まだそんな経験はありません」

二人の会話は重点がずれているようだ。放二にとっては、なんでもない平凡な生活のようであった。

「先生。いちど遊びにいらして下さい。パンパンたち、御紹介します」

「変った子がいるの?」

「べつに変ってもいませんけど、簡単にイレズミを落すクスリができたら、喜ぶでしょうね。はやまって彫って、新しい恋人ができるたびに後悔してるんです」

「君も恋人かい」

「いいえ」

放二はアッサリ否定して、話をつづけた。

「一人だけ、先生が興味をお持ちになるかも知れません。この子のことで、男が三人死んでます。外国人も。殺したのも、殺されたのも、自殺したのもいますが、みんな、ピストル。そして、三ツの場合ともこの子の目の前で行われたのです」

「妖婦なのかい」

「いいえ。無邪気な子です。まだ十九、可愛い顔をしています」

放二の言葉は淡々として、つかみどころがない。きいただけでは、父兄がわが子を語っているようで、長平はくすぐったいような変な気持だ。