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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

すると、放二の言葉がつづいて、

「いちど見てごらんになりませんか。美しいとお思いになるかも知れません」

五

数日後、二人は中央線の某駅で降りた。零時ごろである。銀座と新宿の梯子酒のあとだ。のめない放二は二三杯のビールで耳まで真ッ赤であった。

マーケットで、放二は一軒のオデン屋をのぞいた。四十がらみのオヤジが帰り支度をしていた。

「オジサン。おしまいですか」

「ヤア。いいゴキゲンですね。オデンにしますか」

「ええ。お酒と。持って帰りたいのです。お客様がありますから。こちら、大庭先生です」

「ヤ。それは、それは。お噂は毎日北川さんからうかがっております」

オヤジは表へ出て挨拶した。

「オジサンも、いっしょに、いかが」

「そうですか。じゃ、そうさせていただきましょう」

オヤジは戸締りをして、酒ビンや売れ残りの食べ物類を包んだ大きな荷物を両手にぶらさげて出てきた。

放二のアパートはマーケットの隣であった。暗い入口でガヤガヤやっていると、管理室の扉があいて、やせた男が現れた。

「北川さん。こまるよ。あんたは承知で、自分の部屋をパンパン宿にさせておくのかね」

「ハ。