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しんらんしょうにんについて
親鸞聖人について
吉川 英治
「毎日新聞」1962(昭和37)年10月1日号から9回に分けて連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,038 字 · 29 页
けれども、それに屈しられず、弱いようでいて実に強い。――後鳥羽上皇の流されたことについて、親鸞がふれられていることをみて、私はその忌憚のない言葉の端に、こんなに強い人かとびっくりしたことがあります。
その親鸞は七百年前なくなられて、七百年たった今日も、いやなくなったとは思えません。私のような、つまらないものが、お名前をかりてですね、話をし、あなた方の胸に親鸞という名前が、イメージが、いろんな形において描かれているということは、正しく親鸞が生きているということでしょう。その意味において、私たち日本人は、心のなかに一つの富をもっていると思うんです。
親鸞が、いまも私たちの心の中に生きているということは、私たち日本人にとって一つの富と思います。しかし近来はですね、宇宙時代、宇宙をあたかも人間が征服でもしたかのごとく、ソ連でも宇宙船が飛んだ、アメリカでもやった、というたびに、上を向いて宇宙時代をいう。
さて、その宇宙時代から私たちの生活、心になにがもたらされたでしょうか。といって私は、決して科学を軽視するもんじゃありません。人間の英知、こんなすばらしい、あなた方と、こんなふうに大ぜいとご一緒に話せるのも、これまた文明のおかげ。