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しんらんしょうにんについて
親鸞聖人について
吉川 英治
「毎日新聞」1962(昭和37)年10月1日号から9回に分けて連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,038 字 · 29 页
そこへポリスがやってきて“何してる?”という。“月を、月見をしている”“月見をして君たちは何をするのだ”という。“月を見て何をする?”“月をみて楽しむんだ!”“月を見て何が楽しいか?”
この議論でもって、おまわりさんとの話のラチがあかないんだそうです。あげくに“お前たちはギャングか、なにかの相談でもしてたんじゃないのか?”というんで、夜もふけますんで、面倒くさいから警察へ行って、警察の署長さんに話したところ、署長さんにも、その月を見て楽しむということがよくわからないのです。
そこで、懇切丁寧に“日本では、農家の貧しい人といえ、それから昼間はどんな物質的な商品販売をやっているような人でも、ある時には月を見ればキレイだな! と多感になって、一句をかたむけながら若いころを思うなり、いろいろ情緒をかなでて月を見る月見という風習があるんだ。これはいまだけじゃない、昔の昔からあるんだ”と説明して、やっと納得がいったそうであります。
この地球からみている、あの一つの月でもですね、われわれからみるのとですね、太平洋をへだててみる人の見方とは違うんです。ですから、そういう根本的に文化の発達の違う人たちが、大いに科学的な先端を誇るのはいいでしょう。