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かいしゃくがくとしゅうじがく

解釈学と修辞学

三木 清

「哲学及び宗教と其歴史(波多野精一先生献呈論文集)」岩波書店、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,866 字 · 24 页

青空文庫

修辞学は行為に関して、一、勧告し、もしくは諫止すること、二、告訴し、もしくは弁護すること、三、称讃し、もしくは非難すること、を主題とする。かように行為に関係することによって修辞学には時間が属している。すなわちアリストテレスによれば、右の第一の種類は未来に、第二の種類は過去に、第三の種類は現在に関係している。そしてこれら三つの種類のものにおいて問題にされるのは、右の順序に従ってそれぞれ、一、利と害、二、正と不正、三、善と悪である。修辞学についてのアリストテレスの分析がいかに具体的な点に触れているかが知られるであろう。

かくして修辞学が単なる論理でないことは明らかである。言葉が単にロゴス的なものであるならば修辞学は存しない。修辞学は一面論理であるとともに他面心理である。ここに心理というのはパトス的なもののことである。修辞学は心理と論理との綜合であり、論理としては具体的な論理である。このような具体的な論理については、論理の基礎に関するかの心理主義と論理主義との論争のごときは無意味でなければならぬ。この論争そのものが抽象的であるといえる。修辞学は心理的に、言い換えればパトス的に制約されている。