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ごろのろんり

語呂の論理

中谷 宇吉郎

「中央公論」1938(昭和13)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,587 字 · 14 页

青空文庫

そして私にはこの『北越雪譜』の中に出て来る論理が、何となく純粋に日本的あるいは東洋的なものという気がして大変面白かった。

第一節は「地気雪と成る弁」であって、天地の間に、三つの際があって、地に近い温際から地気が昇って行って冷際に到って、温かなる気が消えて雨や雪になるという話が書いてある。この話は、その中に用いられている術語と温度と熱の概念とを訂正さえすれば、すっかり現代の科学の説になるのであって、従ってその骨組だけを見れば、こういう考え方は現代科学と同じ仲間のものであろう。もっとも牧之翁自身も、「是余が発明にあらず諸書に散見したる古人の説なり」といっているのであるから、此処では問題にすることもなかろう。

ところで、牧之翁の論理学が躍如として出て来るものは、もっと地方的の現象の説明である。例えば、「初雪」のところには次のような一節がある。

……そもそも越後国は北方の陰地なれども、一国の内陰陽を前後す。いかんとなれば天は西北にたらず、ゆゑに西北を陰とし、地は東南に足らず、ゆゑに東南を陽とす。越後の地勢は、西北は大海に対して陽気なり。東南は高山連りて陰気なり。