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ごろのろんり
語呂の論理
中谷 宇吉郎
「中央公論」1938(昭和13)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,587 字 · 14 页
の中の雪中の虫のところに「金中猶虫あり、雪中虫無んや」というのがありますね」という話をしてくれた。私はうっかり読み通っていたので、帰ってから早速探して見ると、なるほどちゃんとあった。そして、語呂の論理の例としては、この方が簡潔で良いので、その後はしばしばこの方を借用することにした。
「雪中の虫」の説はなかなかの傑作である。凡そ銅鉄の腐るはじめは虫が生ずるためで、「錆は腐の始、錆の中かならず虫あり、肉眼に及ばざるゆゑ」人が知らないのであるが、これは蘭人の説であるという説明があって、その次に「金中猶虫あり、雪中虫無んや」というのが出て来るのである。
「雪中虫無んや」の話は、その時は大笑いになって済んでしまった。そして西洋の自然科学風な考え方の洗礼をまだ受けていない頃のわれわれの祖先の頭の中をちらと覗いたような気がして大変愉快であった。ところがその後よく注意していると、この語呂の論理は案外現代にも色々の所ですました顔をして通用しているということに気がついた。特に驚いたことには、ちゃんとした現代科学の学会の討論などにも、時々は「金中猶虫あり、雪中虫無んや」と全く同じ論理が出て来ることがあるのである。