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「ふんしょじだい」のしゅつげん

論理とその実践――組織論から図書館像へ――

中井 正一

中井正一『論理とその実践――組織論から図書館像へ――』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「焚書時代」の出現、生まれ変った赤坂離宮、国立国会図書館について、知識と政治との遊離、地方文化運動報告、図書館法楽屋話、図書館法の成立、野に山にかかる虹の橋、民族の血管、「良書普及運動」に寄せて、機構への挑戦、巨像を彫るもの、国立国会図書館、集団文化と読書、実践について、組織としての図書館へ、地方の青年についての報告、聴衆0の講演会、図書館法ついに通過せり、図書館法と出版界、歴史の流れの中の図書館。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,021 字 · 120 页

青空文庫

これは、青年全体の二百名からの集団的訓練と組織と、市民への関係を確保せしめるのに役立った。終戦後初めての桜の花は、彼等にとって夢のように楽しいらしかった。

四月からの文化運動は新たなすがたをもった。私は「カント講座」を計画した。百五十年の立後れをもったドイツのこの啓蒙学者の理論は、三百年の立後れをもち、しかも封建残滓を急速に脱落しなければならない日本に一つの一階程となるのではないかと私には思われた。私はこれを実験にうつした。この計画は案外な反響を生んで、尾道では七十人の毎週連続聴講生を続け、隣の三原市では労働者をふくめて百人の聴講生をもった。私はルネッサンスが眼前において起るのを見たいという野望を胸に描いたのである。カントの言葉を借りて、封建より脱落して、自我の尊厳へ青年達を導くとき、時々、ルネッサンスの中に火に炙られようが、獄に投ぜられようが、乗越え乗越えてやって来た、荒々しい学者どもの魂が、亡霊が、うろつきさまようかのような、胸を圧するような感動を憶えることがあった。

三原から、夜十時すぎの復員列車にぶらさがりながら家にかえる時、このビョウたる自分も、歴史の中に、その生きる意味を、今の瞬間もっているかもしれないという、ちょっと甘いセンチメンタリズムに落ちることもあった。