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ちょうほうちゅうけいきょく

諜報中継局

海野 十三

「新青年」1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,537 字 · 40 页

青空文庫

「ジム爺さんに靴が縫えるかね」

「こうなれば何でもやらあね。この皮が問題だて。実はな、古椅子に貼ってあった皮を引剥して、三日間脂を喰わせてよ、それから縫いに懸ったてえわけよ。底皮はな、古トランクよ。これは二足目だがね、どうもうまく恰好がつかない」

「なるほど、そういえばちと不恰好だね。でもいいよ、ちゃんと役に立つんだから」

「ところが、この前に作った靴は二日で駄目さ」

「なぜ」

「なぜったって、靴の皮と、古椅子古トランクの皮じゃ強さがまるっきり違うんだ。靴の裏は木にする方がいいかもしれねえな」

「ふうん。爺さん。あたしにも一足作って来ておくれなね。お礼をするよ、本当に……」

「へえ。何を礼に呉れるかね」

「すばらしいものだよ。耳をお貸し」

(間)

「へえっ。とんでもない。わしをからかう気かね」

「からかやしないよ。本当の話だよ。代用品と違って、まじり気なしのぱりぱりだよ」

「ううん……」

「頼んだよ」

「ふうん。とにかく作っては来るがね」

「しっかりおしよジム爺さん。予約の印に、コーヒーを出してやるよ。うちへ寄んな」

「コーヒーがあるのかい」

「うちの亭主が、この間戦地から帰って来たときに置いていったのよ。