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ぶたきちとヒョロこ
豚吉とヒョロ子
三鳥山人
「九州日報」1926(大正15)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页
「おれあもうあるけない」
と豚吉は泣きそうな声で云いました。
「まあ、あなたは何て弱い方でしょう。私がおぶってあげましょうか。あたしはこんなに瘠せてても、力はトテモ強いんですよ」
「馬鹿なことを云うもんじゃない。おれは人の三倍も四倍も重たいんだぞ。そんなことをして、大切なお前が二つに折れでもしたら大変じゃないか」
「いいえ、大丈夫ですよ。私は人の五倍も六倍も力があるのですから」
「いけないいけない。そんなことをしたらなお人に笑われる。それより休んだ方がいい。ああ、くたびれた」
「でも、あとから村の人が追っかけて来ますよ」
「虎が追っかけて来たって、おれはもう動くことが出来ない。休もう休もう」
と云ううちに、そこの草の上にドタンと尻もちをつきました。
ヒョロ子は困ってしまって、立ったまま四方を見まわしますと、ずっと遠方から馬車が一台来るのが見えました。ヒョロ子は喜ぶまいことか、大声をあげて、
「馬車屋サーン。早く来て頂戴よ――」
とハンケチを振りました。
「何、馬車が来た」
と豚吉も立ち上りましたが、背が低いので見えません。
「何だ、草ばかりで見えやしない」
「そんなことがあるもんですか。