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ていそうについて

貞操について

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,541 字 · 11 页

青空文庫

婦人に対して、社会が、生存の基本になるモラルとして、貞操を要求しはじめた第一歩は、私有財産というものが人間社会で権威をもちはじめた時期と歴史の上で一致している。そして、婦人は、世界史的に、原始の自然な女としてののびやかさを失い、家長、その父、その兄、その良人、その息子に従属する存在となり、一種の私有される家財めいた存在となったのであった。

こうして読めば、これは実に太古の社会史の一節である。人類の祖先たちに属する話というこころもちがする。ところが、このようにしてはじまった婦人の社会的地位の決定は、おどろくべき延長で今日もなお地球の大部分の文明国においても本質的には変化させられないままで来ているのである。

日本が今やっと民法における婦人の地位の改良に着手した。日本が近代資本主義の国として出発したとき、既に改正されるべきはずであった資本主義社会の枠内での婦人の人権が、今日ようやく認められて来た。そのくいちがいの大きさ。即ち、明治からの七十年間近くが半封建のかげを日本の婦人の生活の全面におとして来ていた。「家」という藤村の傑作がある。そういう文学作品の表題は中国文学の中と、日本文学の中にしかないだろう。