轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

「中央公論」1916(大正5)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页

青空文庫

水車屋の家は、向うに小さく見えているのに、行った限(ぎ)りさっきの男はなかなか戻って来ない。皆はやはり新さんと同じような生れ付きで、人が悪く思えない性分だった親父のことなどを話しながら、折々手をかざしては、畑道を動いて来る人影に気をつけていた。

あまりおそいので、二度目の使が立とうとしたときである。往還の向うから一人の婆が半狂乱の風をしてころがるように馳けて来た。

「やあ誰だべ? あげえにかけてるわ!」

「ほんになあ! 婆さまの癖にえれえ勢なこんだ」

多勢の注目の中に馳け込んだのは、善馬鹿のおふくろである。

まあ一体何というなりをしているのだろう?

白髪が蓬々さかだって、着物の袖が片方千切れているのも知らないように、喉元でハーハー喘いでいるのだもの……。

「ま、善がおっかあでねえけえ。どうしただ。何いそげえに狼狽(あわ)ててんだ?」

「誰(だん)だえ? う? 首縊りしたなあ誰だえ?」

婆は、真青な顔をして、皆を突きのけながら掛っていた菰(こも)をまくろうとした。

「あんすんだ。新さんよ! 水車屋の新さんが可哀(かわえ)そうにこげえなざまになっただよ!」

「気い落付けて、ゆっくら話しても分んでねえけえ」