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まずしきひとびとのむれ
貧しき人々の群
宮本 百合子
「中央公論」1916(大正5)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页
どうして彼等の疲れた眼差しに高ぶった瞥見(べっけん)を報い得よう!
私共は、彼等の正直な誠意ある同情者であらねばならなかったのである。
世の中は不平等である。天才が現れれば、より多くの白痴が生れなければならない。豊饒(ほうじょう)な一群を作ろうには、より多くの群が、饑餓の境にただよって生き死にをしなければならないことは確かである。
世が不平等であるからこそ――富者と貧者は合することの出来ない平行線であるからこそ、私共は彼等の同情者であらなければならない。
金持が出来る一方では気の毒な貧乏人が出るのは、宇宙の力である。どれほど富み栄えている者も、貧しい者に対して、尊大であるべき何の権利も持たないのである。
かようにして、私は私自身に誓った。
私は思い返した。
自分と彼等との間の、あの厭わしい溝は速くおおい埋めて、美しい花園をきっと栄えさせて見せる!
四
私は、自分の生活の改革が、非常に必要であるのを感じた。そして、いろいろな思いに満たされながら、自分の今日までの境遇を顧みたのである。
私共の先代は、このK村の開拓者であった。首都から百里以上も隔り、山々に取り囲まれた小村は、同じ福島県に属している村落の中でも貧しい部に入っている。