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まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

「中央公論」1916(大正5)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页

青空文庫

彼は黙って下を向いている。赤面もせず、ウジウジもせず、ちっとも母親にたよるような様子をしないでつくねんと立っている。

女は、子供の方へ複雑な流し目をくれながら、しきりに繰返し繰返し勘弁してくれとか、自分等の子達は畜生同様なのだから、どうぞこらしめにうんと擲ってやってくれなどとまで云った。

けれども私は、人にあまりあやまられたりすることは大嫌いである。自分の前にすべてを投げ出したようにしていろいろ云われると、仕舞いには、自分が恥しくなって来る。何だか、いかにも自分が暴君じみているように思われて、いつも母の云う「いくじなしのお前」になり終(おお)せてしまう。

今も、その癖が出たとともに、もうどの子が何をしたとか、憎らしいとかいうことは出来るだけ忘れようとつとめ、また実際気にもならなくなっているので、そんなにされることはよけいいやであった。

で、私が口を酸(すっぱ)くして叱るのをやめろと云っても、彼女(かれ)の方ではそれをあてこすりだと思っているとみえて、だんだん子供にひどくする。

「食うてばかりけつかってからに、碌(ろく)なことーしでかさねえ奴だら。