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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

」這般の決心十を併さば、もって一郷を動すに足るべし。

打撲、挫、整骨、困る人には施行療治いたし候。西の内二枚半に筆太に、書附けたる広告の見ゆる四辻へ、侠な扮装の車夫一人、左へ曲りて鮫ヶ橋谷町の表通、軒並の門札を軒別に覗きて、「黒瀬ぬい、と、ええ、黒瀬と、さっぱり知れねえぞ、こっちは土方職、次は車力、引越荷車仕候か、お次は何だ、鋳掛屋かい、差替りまして蝙蝠傘直、さあさあ解らねえ。ふむまた売卜乾坤堂、天門堂とすれば可い、一番みてもらいたいくらいだ、向は仕立屋、何、仕立物いたしますか、これは耳寄、仕立屋に(ぬい)が居ようも知れねえ。試だ、ちょいと聞いてみよう。」

所外より、「あい、御免ねえ。」

内にて女の声、「何でございますえ。」

「ええ、少々伺いたいもんで、もし、この辺に黒瀬というのは。」「さっぱり存じませんね、裏へ廻って御聞きなさい。」「これは御世話。」

と取って返す辻の角、茶綾子の被布を召したる切髪の気高き老婦人、腕車の傍に彳みたるが、「三吉々々。」と召したまい、「知れたか。」「どうもへい。」と天窓を掻けば、

「不可のう、早くしや早くしや、小児が集って煩悩いからの。