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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

」

と見れば貧民の童男、童女、多人数老婦人の身辺にありて、物珍しげに天窓より爪先までじろりじろり。

「餓鬼等何を見るんでえ。」と三吉眼を刮きて疾呼すれば、わいわいと鯨波を揚げて蜘蛛の子の散るがごとし。

「これから裏っ手の方を探します。少々どうぞ。」とまた駈出して、三吉裏手へ回れる時は、宿鴉しきりに鳴きて鐘声交々起る、鮫ヶ橋一落の晩景うたた陰惨の趣あり。

「さて難儀だ、弱り切るぜ。ほんにさ、猫の額ほどな処で二十六間と尋ねたが分らねえ。あたかも芥子粒を選分けるような仕事だ。そうしてまた意地悪く幾たびでもこの総後架に行当たるには恐れる。雪隠で詰腹を切る体だね、誠にはやなんとも謂われねえ臭気だぞ、豪傑に支えたと見えてここらじとじとする。薄汚え。」と爪立てしてひょい、「南無三、踏んだ。」と渋面造って退る顔へ何やらん冷りとする。

「ほい、これは。」

ずぶ濡の破褞袍、蓋し小児の尿汁を洗わずして干したるもの、悪臭鼻を抉って髄に徹る。「やれ情無い、ヘッヘッ。」と虫唾を吐けば、「や、膳の上へ唾を吐くぞ。」と右手なる小屋にて喚く声せり。

三吉慌てて駈出だし、立停って胸を撫で、「ありゃ何だ。